存在する畳で最も古いとされる畳は、奈良時代(約710年)のものとされています。奈良東大寺の正倉院に保管されています。平安時代になると、畳は権力の証とされていました。必要な場所のみ置いて使用していたようです。
鎌倉時代になると、部屋全体に畳が敷かれるようになりこの時代の畳職人は「畳差」「畳刺」と呼ばれていました。
室町時代になると一面、畳が敷かれることから正座がされるようになっていきます。この時代畳職人は「畳大工」と呼ばれました。
室町時代(1392年)~江戸時代にかけて茶道が発展し、炉の位置で畳の敷き方も変わってきました。この頃より町人の家にも徐々に畳が使われていきます。
江戸時代になると「御畳奉行」なるものが作られるくらい、武家には大切にされ、特に将軍や大名には大変重要なものになりました。この頃から本格的ない草栽培が始まり、江戸後期には畳作りを生業とする「畳職人」「畳屋」という職業が確立していきます。
明治時代になると、畳の柄などに規制がかかっていましたがそれが解除され、明治維新後に一気に一般社会へ普及します。
昭和の時代になると高度経済成長期と共に人々の生活も西洋風になり、和室に座る生活から椅子やソファーに座る生活へと変わっていきます。カーペットなどの普及で畳を使う人が少なくなってきていますが、それでも家の中は畳部屋が基になっています。
現在はフローリングが広く普及しています。和室を作ると障子などの付属品が必要となりどうしてもコストが割高になってしまいます。しかしフローリングは部屋の中が寒い、音が響く、落ち着かないなどのデメリットもあり、最近では再び畳が見直されてきています。フローリングの上に置くだけの置き畳や琉球畳が徐々に人気を出してきました。現代の生活に合わせ畳も進化しています。
畳表はい草で編まれています。い草の断面を見るとスポンジ状になっており、多くの空気を含んでいます。この空気がほどよい弾力と断熱の働きがあり、お子様が転んでも大丈夫です。
い草のスポンジ状の部分や畳床には、水分を自然に吸湿する能力があり、空気が乾燥すると放湿する、調湿機能を持っています。
い草のスポンジ状の部分には二酸化窒素や有害な化学物質を吸収する能力があります。いつでも快適な生活を!
空気をたくさん含んでいる畳は、ショックを柔らげる力の他に、音や振動を吸収する働きがあります。だから、元気に遊んでも大丈夫です。
掃除機を使用する場合は畳の目に沿って、畳表に傷がつかないようにゆっくりと力を入れずにかけてください。掃除機に畳を掃除するモードがついている場合はそちらに切り替えます。ほうきを使って掃除する人は少ないと思いますが、その場合は使い終わったお茶の葉をかたくしぼったものを使いましょう。畳の上にばら撒いてほうきではいていきます。その後、乾いた雑巾で乾拭きしましょう。雑巾で拭く場合はきっちり絞って畳の目に沿って拭いていきます。余談ですが、掃除機ロボットを使って掃除する場合は6畳で約10分かかりますが、畳の目に沿って行うわけではありませんので、畳が傷む場合があります。
畳に汚れがこびりついている場合、塩をまいて歯ブラシなどで畳の目に沿って汚れを掻き出していきます。粉状になって出てきた汚れを掃除機で吸い取り、これを何回か繰り返します。これで落ちない汚れは、弱アルカリ性の洗剤を歯ブラシに直接つけて汚れを描き出しましょう。その後、かたく絞った雑巾でしっかりと洗剤分を拭き取り、最後に乾拭きします
在ではあまり見られない光景ですが、畳から余計な湿気をとるために半年に1度は畳干しをしましょう。春と秋に畳の裏を太陽の光にあててホコリを叩き出します。地面に直接置かずにブロックなどの上に置きましょう。畳を干すことができない環境であれば、畳を持ち上げて支えをして風を通してあげるだけでも大分違います。
畳にカビが発生したら中性洗剤を薄めて、かたくしぼった雑巾で拭き取ります。その後、消毒用アルコールを布にとって軽く拭き、乾かした後掃除機をかけます。
ダニの発生する一番の条件は湿気です。畳の上に絨毯などを敷かない、換気をよくするなどして対処します。ダニが発生してしまった場合はこれらのことを改善して、燻煙剤などでダニ退治をしましょう。燻煙剤はダニの卵には効きませんので、卵が孵るであろう2週間後くらいに再度燻煙剤を使用するとかなりの効果があります。ダニ退治をしたら、畳の下に防虫シートを敷くなどをして対策しましょう。
新しい畳に限っての方法です。水などをこぼした場合、すぐに乾いたタオルなどで水分を取り除きます。乾いた後にシミができてしまったら、シミの部分をチョークでこすり、更に乾いた雑巾で乾拭きします。これでかなりシミを目立たなくすることができます。
畳の上に家具を置いていて、どけてみたらしっかりと畳に家具の跡がついてしまった! そんなときは跡がついた場所に熱めのお湯で絞ったタオルをあてて、その上からアイロンをかけましょう。アイロンをあてたらドライヤーや扇風機を使って早めに乾かします。
ティッシュペーパーなどにオキシドールを含ませて軽く叩きましょう。焦げ跡が漂白されて目立たなくなるでしょう。表面の焦げ跡をサンドペーパーなどで軽くこすってから漂白してみてもいいでしょう。これでダメな場合は畳表を張り替えるしか方法はありません。